「わーわー ひゅうひゅう」

 異世界の格闘場に今度は逆方向から戻ってきたアルス。

 更なる戦いの相手を求めてやってきたのに、そこには誰もいなかった。

「よう」

 頭上からの声に上を見上げると、観客席のへりに男が腰をひっかけていた。

 青い鎧と、兜に赤い羽根飾りをあしらった戦士風の男。

「あなたが対戦相手ですか?」

 戦士は、兜に覆われて見えない顔で表情がうかがえないまま、返事をする。

「俺はアレス。案内人さ。おまえさんの相手方はちょっと厄介なんでね。俺が仲介役ってわけさ」

 戦士は、笑って話しているような、真面目に話しているような、どちらともつかない声色だった。

「準備はいいのか?」

「はい」

「よし」

 戦士が上の席でなにか合図を送ると、向かい側のゲートが開いた。

「人間の身でどこまでやれるか見させてもらうよ。頑張ってな。ちなみにオッズは54.1倍対3.2倍でお前さんは大穴のほうだ」

 王者の剣を強く握り締めるアルス。

 ゲートの向こうから出てきたのは、青い巨大な魔物。

 ギョロリとした目と、腹にも怪物の顔がある。

 とてもまともな進化を遂げた生き物とは思えない。

 更に続いて、両手に大剣を握った三つ目の魔物。

 そしてその後ろから、両刃の剣を携えた、最初の2体よりは小柄な、人間体系の魔物が現れた。

「3対1……」

「曲がりなりにも神竜を倒したんだ。期待させてくれよな」

 もう試合は始まっている。

 両手剣の魔物はイオナズンを。

 青い魔物は吹雪を。

 小さな魔人はギガデインを放ってきた。

 

 

     


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