「う……」

 あれからたいして時間も経つことなく、闘技場の端にはアルスの体が横たわっていた。

 闘技場ではアルスの出番は終わり、残された3体の魔王による戦いが繰り広げられていた。

 吹雪に灼熱の炎に呪文、特技の乱れ飛ぶ凄まじい戦い。

 アルスは残されたおぼろげな意識で、その行方を見守っていた。

 

 長い戦闘の末……

「試合終了です。勝者、ダークドレアム。勝ち券をお持ちの方は、換金所にてお引き換えくださいませー」

 

体を引きずって闘技場を後にするアルス。

青い戦士の姿はもうなく、アルスはしんりゅうより強い相手との戦いの傷跡を、その体に染み込ませていた。

 

「よう。よくやったなー」

 ここは再び蜃気楼の塔。

 塔の主、ポロンがアルスを出迎える。

「プロキス達に聞いたぜー。神竜を倒して、ティーエを嫁さんにして幸せに暮らしてるって。とうとうアルスにも春が。良かったな。コノむっつりドスケベ」

 ポロンは本当に嬉しそうだ。

「キラたちにも会ったのか?」

「うん」

「喜んでたろ。何を話したんだ? なんて言ってた?」

「強くなったなあって」

「強く???」

「里の格闘大会に参加させてもらったんだ」

「格闘大会?????」

「もうちょっと自分を鍛えなおしておきたくて……」

「鍛え直すって、アルス。またなんかと戦ってんのか? 竜神も倒して願いを叶えてもらってやっと幸せになったってのに…… そうだティーエは?」

「仙人の里にいるよ」

「ちょ、おまえも俺みたいに放任主義だったのかあ? いやあ気持ちはよ〜〜〜くわかるけど、アルスはダメだって」

「ちょっとの間だけだよ。ティーエはいいって言ってくれたし」

「そりゃあティーエはそう言うさ。けど女心としては……」

「それより、僕にできるような修行の部屋はないかい?」

「ええ!? アルスのレベルでもできることはそりゃ山ほどあるだろうけど、俺の知る限りじゃ、図書館で頭を鍛えるか、瞑想するか、ときはざまの旅の扉の部屋にいくしかないぜ」

「わかった、ありがとう」

「ありがとうってちょい」

 ポロンの静止も話半分に、部屋を出て行くアルス。

 ポロンは心配そうに、昔の仲間の背中を見ていた。

「アルス〜」

 

 

     


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