「羅旋掌波っ」
竜巻状の気の塊が闘技場の床を巻き上げてアルスを襲う。
「羅旋掌波って……」
「ヤオが異魔神に使ってた」
「そう、あのコ、僧侶の呪文が使えるでしょ。風の呪文を上手く使って完成させたのよ」
「あの若さで拳王の奥義をか」
「ギガデイン」
広い広い舞台全体に稲妻が走る。
果てしなく広がる舞台を埋め尽くすように、雷が轟く。
「キャアアー」
遠い舞台の端で、シフォンの悲鳴が上がる。
「あんなトコまで、身をかわしてたのか」
「それでも、アルスの呪文からは逃げられなかった」
捉えたシフォンに続けて電撃の呪文を唱えるアルス。
何度も焦げ付くシフォンの体。
「アルスのマジックパワーは多分ちょっとやそっとじゃ」
「これで終わりってことか?」
4発目のギガデインの隙を狙って、一瞬でアルスとの距離を詰めるシフォン。
最後の渾身の一撃をアルスに放つ。
自らの拳で応えるアルス。
拳と拳がぶつかる。
バキッ
拳の砕ける音がして、シフォンのほうがへたり込んだ。
顔をうつむけて座り込んだままのシフォン。
「参りました」
負けを宣言するシフォン。
「おおっと激しい戦いに決着です。アルス選手の勝利です」
審判が終了の鐘を鳴らす。
「ゴメン。大丈夫?」
武闘家の拳を砕いたことを詫びるアルス。
「ここには、伝説の回復アイテムがたくさんあるから大丈夫ですよ」
ボロボロの顔で笑顔を作るシフォン。
「やっぱりアルス様は強かったですね。私、ティーエさんがいなかったら、アタックしてたかも」
「え?」
「ジョーダンですよ。それじゃ次も頑張って下さいね」
走って舞台から降りていくシフォン。
歩「武闘家の拳を真正面から砕くなんて」
キ「俺でもできねえぜ」
ヤ「そういえば」
キ「なんだ?」
ヤ「異魔神にトドメをさしたのは剣じゃなくてアルスの拳だったって」
「あ……」
プ「おう、お疲れさん。大丈夫か?」
キ「惜しかったな」
ポ「ほい、せかいじゅの雫だ」
ポロンのせかいじゅの雫を手にとって、走り去っていくシフォン。
プ「なんだよ、黙って行っちゃって」
キ「どうしたんだ?」
ヤ「……あのコ、泣いてたわ」