テ「じゃあ」
胸の前で印を結び呪文を唱える。
「すくると」
「ふばーは」
テンの体がひかりに包まれる。
アリ「ちょっとお。なんでフバーハを唱えるのよ。
私は火炎の息なんて吐かないわよ」
テ「あっ。間違えちゃった」
苦笑いするふたり。
アリ「じゃあもう一度、勝負よ」
襲い掛かるお姫様。
テ「うん」
立ち向かうテン。
殴り合いが続く……
アリ(まずいわね……)
手数で勝るアリーナだが、テンに決定的なダメージを与えられなくなってきた。
アリ(伝説の鎧の上に、あんなに守備力を強化されちゃ通らないわ)
重ねがけされた呪文に守られたテンの鎧は硬い音を響かせるだけだった。
その間もテンは少しづつ、アリーナにダメージを重ねる。
アリ(このままじゃ負けちゃう)
勝負が危うくなったアリーナは闘技場のあるモノに気をとめた。
アリ(そうだ)
テンから素早く離れると、テンが手放した天空の剣に向かった。
地面に突き刺さった天空の剣の柄を握る。
アリ「ふっふっふっふっ呪文をかき消させてもらうわよ」
天空の剣を持ち上げ、振りかざそうとする。
アリ「えっ!?」
大岩を持ち上げるアリーナでも、天空の剣は鉛のように沈黙したまま重く持ち上がらない。
アリ「なんで……こんな……」
天空の剣は冷たくその刃を光らせていた。
テン「その剣は天空の勇者じゃないと扱えないんだ」
動きの止まった武闘家の体を押して場外に落とす。
アリ「きゃあー」
地面に落ちるアリーナ。
「はいっ場外です。
テン選手の勝ちっ」
右手をあげるテン。
アリ「え〜ん。やっぱり私にも天空のツメとかあればよかったのに〜」
泣いて悔しがるお姫様。