ピサロはザラキーマを唱えた。
死の影がテンにまとわりつく。
しかしテンはなんともなかった。
「やはり天空の力で守られているな」
「呪文が得意なんだね」
テンはマホトーンを唱えた。
封呪の光がピサロの体を包む。
「ふっ、私も魔界の力に守られているのだ」
「魔界……魔族?」
「今頃気付いたのか?」
「何をしにここへ?」
「呼ばれたのだ。お前と剣を交える為にな」
ピサロの構えた魔界の剣は、人間の魂を吸い込みそうな怪しい輝きを放っていた。
「この剣は天空の勇者を葬る為にこの世に存在しているのだ」
切っ先が向けられるたびに、心が持っていかれそうになるほどの妖気。
しかし天空の装備に守られたテンにはそれほどの影響はないようだ。
「全く、自分に与えられた加護を理解すらしていないとは、腹立たしいものだな」
ピサロはメタル斬りを放った。
鋭い金属音を立てて、天空の盾がはじく。
ぎがでいいん
「くっ」
テンの呪文に避けようもなく電撃を受けるピサロ。
「勇者の証か……だが力のみなら私のほうが上だ」
ピサロは地獄からいかづちを呼び出した。
ジゴスパーク
蒼い稲妻がテンの頭上で弾ける。
その間に回復呪文を唱えるピサロ。
爆炎の中からテンが飛び出した。
天空の剣を水平に真横から切りつける。
剣で受け流すピサロ。
すぐさま向きを真逆にして、もう一度切っ先を向けるテン。
ピサロの頬に一筋赤い一線が走る。
「剣術は見事だな。だが」
ピサロはバイキルトを唱えると、体を回転させてムーンサルトを放った。
弾き飛ばされるテン。
追い討ちをかけて剣を振り下ろす。
魔人斬り!
左耳をかすめ紙一重で避けるテン。
「どうした、天空の勇者。お前の力はそこまでか?」
右手を掲げ、しんくうはを放つピサロ。
鋭い真空がテンの体を切り刻む。