「! 気でもふれたか?」
アルスが笑い始めた。
嬉しそうな、アルスに似つかわしくない少しいびつな笑い。
「!」
アルスが剣を振るうと、アレスの大剣が大きく弾かれる。
続けて振るう王者の剣を左腕の盾で受けるも、そのまま腕を持っていかれる。
アレスの反撃の一撃を軽く流すと、渾身の一撃を、頭に打ち下ろされた。
アレスの兜が飛ばされ、黒髪がたなびく。
驚くアレス。
アルスの攻撃はなおも止まない。
押されながらも、剣で受けながら余裕を見せるアレス。
「強いじゃないか。なるほど、並みの人間では物足りないはずだ」
アレスは剣を大きく横に一閃させて、アルスとの距離を作った。
「いいぞ。来い。本当の力を俺も出してやる」
アレスは静かに仁王立ちになると目を閉じた。
アルスも同じように目を閉じる。
何十秒か、何十分か、時が止まって凍りついた様な時間が流れた後。
鋭い音がして、アルスのほうが片膝をついた。
「ふっふっふ、決着だな」
アレスはにやりと笑うと呪文を詠唱した。
ひょうが
闘技場全体が、氷に覆われる。
「あれは……」
「異魔神の古代魔法!」
厚く覆われた氷の上に立つアレス。
「審判、終わりだ。試合を終わらせろ」
「あ、はい、えーでは優勝は……」
ばきん
分厚い氷を砕いて、アルスの姿が現れた。
「ほう」
満足げなアレス。
「人間とは思えない強さだ。だがもうわかっているんだろ。それでも私とは次元が違うのだ」
愉悦にひたりながらそう言い、終わった瞬間。次の言葉を解き放つ。
りゅうせい
「うわああ」
「逃げろー」
振ってくる流星にパニックになる観客席。
「心配はいらない。私が結界を張ったのだ。舞台外の人間はなんの影響もない。舞台の外の人間はな……」
振ってくる星に、破壊される闘技場。
粉々になり、大地も穴だらけになってしまった。
「直撃だな」
「アルス……」
「死んじまった?」
「!」
「あ、あそこ」
アルスは再び立ち上がってきた。
「おまえ……」
アルスは右手を上げて最後の呪文を詠唱した。
「5連……」
(ギガデインを5発はなったところで、少々こたえる程度だ)
身構えるアレス。
「ミナデイン!!!!!」
観客席から、集められるだけの魔法力を集めて、巨大な稲妻の塊を5発ぶつける。
「うおおおお」
黒焦げになるアレス。
しかしそれでも彼はなお闘技場に立っていた。