言葉を言い放つアルス。
「お互い魔法が一番の特技じゃないんだろ? 最強の攻撃でないと僕らは倒せない」
「ふっふははははは」
アレスの笑い声がこだまする。
「狂ってるな、その物言いも、お前の強さも」
「……」
「いいぞ。お前なら俺の。俺ならお前の相手も務まるはずだ」
剣を握って大地に降りる。
「来いっ!!」
素早さも、重さも人間離れしたぶつかり合いの影と音が会場に存在していた。
重い重い一撃がとんでもない鋭さで、ふたりの間で続いていた。重い重い音が響いていた。
「あんなに強かったのか」
「ふたりともね」
長く続いた二人の力押しの戦いに耐えられなくなってきたのは、アレスの剣だった。
パキン
潔いほどの音を残して、折れた白い大剣。
アルスはそれを見ると、王者の剣を放り投げて、拳でアレスの顔を殴る。
アレスも拳でそれに応える。
キ「ただの殴り合いだ……」
ポ「強さってのは本来こういうもんかもな」
ヤ「…………アルスの拳は、異魔神にトドメを差したほど」
拳の嵐の音が長く鳴り続けた。
ゴキッ
骨が砕ける音がして、片膝をついたのはアレスだった。
「信じられん。この俺が……いや、予感はあった。負けるかもしれんという可能性の芽は確かに感じていた。しかしそれは今ではなかったはず」
見上げた対戦相手は堂々と二本の足で立ったまま、自分を見下ろしていた。
「……まいった。俺の負けだ」
「アルスが勝ったぜ」
紙ふぶきが舞う会場の中、決勝を戦ったふたりの体が青い光に包まれる……
「優勝はロトの子孫、アルス選手〜〜」
アナウンスの声を残して、二人の姿は舞台からかき消えてしまった。