「では第一試合。
さすらいの剣士ベゼル選手と、ロトの血を引く勇者アルス選手です。
どうぞご登場ください」
「やれやれ」
日本刀を抱いて、重い足取りで舞台にあがるベゼル。
ロトの装備を身にまとって戦いに臨むアルス。
「では、はじめてください、どうぞっ」
ア「?」
戦いの合図がかかったのに、さすらいの剣士はやる気のないまま。
ベ「なあ、アンタ」
「?」
ベ「あんたがロトの勇者?」
ア「僕は……紋章を受け継いだ……子孫です」
ベ「ふ〜ん」
アルスの体を見る。
ベ「あんた、アレスの知り合い?」
ア「はあ、まあ知り合いって言うか……
色々教えてもらっています」
ベ「あいつに付き合うのは程ほどにしといたほうがいいぜ。
アイツは戦いに魅せられた闘神だ。
戦いにとりつかれちまったのさ。
この大会も面白いからっていうだけでやってるんだぜ。多分……」
ア「あなた、お知り合いなんですか?」
ベ「知り合いっていうか、まあ付き合いだな。
お互いの利益の為に付き合えば、それでいいのさ」
鼻水を垂らしながら喋る。
ア「はあ」
ベ「さあてと戦わなくっちゃな。
義務はないけど、義理はあるからな」
細い日本刀を無造作に下手に構える。
アルスも王者の剣を握る。
ベ「いいかい?」
余裕ありげにたずねるベゼル。
うなづくアルス。
ベゼルは刀の切っ先を、下からアルスめがけて滑らせる。
王者の剣で受け止めるアルス。
ベ「おっとっと」
体をよろけさせるベゼル。
ベ「こりゃあ剣術じゃかなわないな」
後ろに距離をとり、呪文の印を結ぶ。
ア「! マホトーン」
封呪の呪文を唱えるアルス。
ベ「そんなもんじゃこの呪文は止まらないよ」
剣を右手に左手で印を結び呪文を発動させる。
「時の砂の呪文 サンズ オブ タイム ストップ」