山の森の中に小さなきれいな泉があった。それは太陽の光の恵みと祝福を受けて、キラキラと輝いていた。
ア「ここかなあ?」
泉に顔を写すティーエ。
テ「きっとそうよ。なんだか不思議な・・・心が落ち着く感じがするもの。」
ア「・・・」
テ「さ、王者の剣を放り込んでみて。」
背中の王者の剣を取り出すアルス。
ア「でも、わざと泉に投げ捨てるなんて・・・
そんなことして女神さま怒らないかな・・・」
テ(ほんとに真面目なんだから。)
「せっかくここまできたのに・・・
じゃあ貸してみて。」
ア「ティーエには無理だよ。あっ。」
王者の剣はアルスの手を離れて泉の中へ。
ア「ティーエが無理するから・・・」
テ「これで良かったのよ。」
胸をはるティーエ。
テ「さ、折れた刀身の先もいれちゃいましょ。」
ア「いいのかなあ?」
しぶしぶと、大きな袋から王者の剣の先っぽを投げ入れる。
王者の剣は泉の底へと沈んでいった。
・・・そのままなんの反応もない。
ア「なにも起こらないね。」
テ「そんな・・・」
王者の剣は水の底で見えなくなったまま。
テ「女神さまは〜?」
ア「もう、棲んでいらっしゃらないみたいだね。
僕ちょっと潜って取ってくるよ。」
テ「ええ?もうちょっと待ってみましょうよ。」
上半身を脱ぎだしたアルスを引き留める。
泉が輝きはじめた・・・
「おまちなさい。」