泉の上に美しい女の人が現れた。

「私はこの泉の精霊

オルレラ。

そなたが落とした物を

ひろってきてあげましょう。」

テ「女神さま・・・」

「まさか、わざと落とした・・・・・・

などということはありませんよね。」

ア「それは・・・もがっ。」

アルスの口に体を入れるティーエ。

テ「ありませーん。」

「では少しおまちなさい。」

ア「なにするんだよティーエ。」

テ「全くアルスは馬鹿正直すぎるんだから。

いい?うまく新品の王者の剣が貰えるように考えて答えるのよ。」

ア「ええ〜?」

テ「それが王者の剣の為、世界の為よ。」

ア「う、うん。」

テ「あ、でてこられたわよ。しっかりね。」

「アルスよ。

そなたが落としたのは

このひのきのぼうですか?」

「いえ・・・」

「おや、やはりちがいましたか。

では今少しおまちなさい。」

泉に消えた女神さまがもう一度武器を持って浮かび上がる。

「ではこの天空の剣でしょう。」

白く光る剣が見せられる。

テ(すごい剣ね・・・ねえアルス。あれでもいいんじゃない?)

ア「いいえ。」

「おやちがいましたか?

今少しおまちなさい。」

ア「ティーエ。」

テ「ゴメンなさい。ちょっと素敵な剣だったから。」

ア「ふう。」

「ではこの王者の剣でしょう。」

新品の王者の剣を持って現れる。

テ「やった。アルス直ってる。アレよあれ。

  コレで王者の剣の復活よ。」

ア「・・・」

「どうしました?落し物はこれではないのですか?」

ア「僕が落としたのは、王者の剣のレプリカと、折れた先です。

  そんな完全なものではありません。」

「そうですか・・・でも気にする必要はありません。

あなたはロトの血を引く者。

それも異魔神を倒した勇者。

これは私からのお礼です。」

テ「やった。アルス。ありがたく貰いましょうよ。」

ア「でも・・・」

「?」

ア「もうこの世界は平和になりました。

  ロトの王者の剣はラダトームの勇者が持っているし、

  この落ち着いた世界に、2本の王者の剣は必要ない気がします。

  ただでさえ、力を持て余しているくらいですから・・・」

テ「アルス・・・」

ア「だから、落としたレプリカの王者の剣をもらえませんか?」

にっこりと微笑む女神様。

「よかった。

私はそなたがうそをつくのではないかと心配していたのです。

さあ折れた王者の剣を受け取りなさい。」

王者の剣のレプリカ部分だけを受け取る。

「そして私からのおくりものです。

真の王者の剣を差し上げましょう。」

アルスの手に完全なカタチの王者の剣が渡される。

ア「オルレラ様・・・」

「世界はあなたが思うよりも広く、

まだまだあなたとその剣の力が必要な時が来るでしょう。

その時の為にこの剣を差し上げます。」

渡された王者の剣は以前にも増して溢れる光を放っていた。

「どうか、更なる喜びが勇者と共にあらんことを・・・」




     


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