ポ「こいつらまだ若いけど、見込みがありそうなんで、俺んとこで修行させてるんだ。
昔のアルスとキラみたいにな。」
ふたりを見るアルス。
ポ「さっきのケンオウの里の大会で、
シフォンは優勝はできなかったけどヤオに一度勝ってるし・・・」
シ「あの時はわたしどうしても勝ちたくて・・・
ひたすら修行して、その日はたまたま調子が良くて、
会心の一撃の連発でごり押しできたんです。
総合的な強さでは全然ヤオさんの足元におよびません。」
ポ(あの女にごり押しできるなら、そうとうなもんだっつーの。)
「武道家にはたまにそういうことがあるらしいな。
運も実力のうちさ。ほんとの実戦なら、その意味もわかる。」
シ「そうでしょうか・・・」
ポ「俺たちの戦いも紙一重の、本当にわずかな運が勝敗を分ける戦いばかりだったもんな。」
ア「うん。」
シ「わたしアルスさまたちは、敵をものともせずに戦っていらっしゃったのだと思ってました。」
ア「そんなことないよ。
拳王に勝てたのなら、それはキミの実力だよ。」
シ「感激です。」
ポ「プロキスはキラといい勝負してんだ。
勝てはしなかったけどな。」
プ「あの日は、なぜかキラさんがブラックシーザーを貸してくれて、
それでやっと試合になったんです。
それでも結局俺は勝てませんでした。」
悔しそうなプロキス。
黒に光る少し姿の変わったかつてのパーティの一員を優しげな目で見つめるアルス。
(何度も何度も助けてもらったっけ・・・)
ア「シーザーに認められたのなら、それもキミの強さの証だよ。
滅多なことじゃ、その鎧は着られない。
キラもキミの才能を感じて貸してくれたんだと思う。」
プ「ポロンさまに修行してもらえることになって、キラさんがその間シーザーを正式に貸してくれることになったんです。
強くなって来いって。」
自分のブラックシーザーを大切そうに、触る。
「ぐるるるる。」
ア「それでこのふたりを連れて・・・」
ポ「天界に行くんだ。」
ア「なぜ?」
ポ「アレルは、ゾーマを倒してロトの称号を受け取った後、
天界に上ったって説もあるんだ。」
テ「なにをしにいったの?」
ポ「自分の強さを確かめるためって言うのかな?
魔王を倒して世界最強の力を手に入れても、まだまだ上には上がいるってことさ。
色んな意味でな。」
アルスを見る。
ポ「アルスも少し自分の力を持て余してるとこだろ。」
うつむくアルス。
ポ「まあそういうことだ。
ゾーマより強い異魔神を倒した勇者でも、
ひとりじゃかなわないモンスターもわんさかいるそうだし、行ってみろよ。」
ア「異魔神を倒せたのも、アランとアステア・・・
キミたち三人のケンオウ。
イズナにイヨさま、ギランさんボルゴイさん。
それに世界中の大勢の味方のおかげだよ。
僕ひとりじゃバラモスも倒せるかどうか・・・」
ポ「なんだよ。ここにいるのは強すぎるくせに自分の力を信じられないやつばかりかよ。
せっかくの力が泣いてるぜ。」
「・・・」
テ「それで天界に行ってモンスターと戦ってくればいいの?」
ポ「天界には竜の神様がいるらしいんだ。」
プ「竜の・・・」
シ「神様・・・」
ポ「もし竜の神様に認められれば、どんな願いも叶えてくれるらしい。」
テ「どんな願いも?」
ポ「ああ。アレルは見事認められて、父親のオルテガを生き返らせてもらったそうだ。」
シ「死んだ人間も生き返らせてくれるんですか。」
テ「オルテガが生き返ったなんて、そんな話聞いたこともないわ。」
ポ「でも、オルテガはちゃんと生きてアリアハンに戻り、
寿命を全うしたって記録も確かにあるんだぜ。」
ティーエにウインクする。
ア「それが本当なら・・・」
テ「アルス。」
ア「うん。」
テ「ルナフレアを生き返らせることができるかも。」
ポ「あら。」
ズッコケルポロン。
(俺はティーエに使って欲しかったんだけどな・・・)
後ろ頭に汗をたらすポロン。
テ「ルナフレアはあの日のまま、若くて美しいままだし、
アルスも成長してるし、お似合いの恋人よ。」
ア「ルナはそんなんじゃ・・・」
テ「またあ、照れちゃってこのお。」
肘をあてるティーエ。
テ「ありがとうポロン。」
ポ「いやあ、まあ、その・・・頑張れよな。」
困って笑うポロン。