「もう、アルスってば見向きもしないんだから。」
「誘惑に気をつけろって言ったのはティーエだろ?」
「そうだけど、ちょっとは誘惑にも興味を持ちなさいよ。」
「難しいなあ。」
あきれるアルスと、ふくれるティーエ。
「ここか・・・」
「なにこれ・・・お城じゃない。」
「なんでも、4人の町長が、4つの玉座に座って毎日会議をしてるそうだよ。」
「お金儲けも、いくとこまでいっちゃってんのね。」
城門のような入り口に近づく。
「行くよ、ティーエ。」
「あ、待って〜。」
「なに用か?」
長い槍を携えた兵士に止められる。
「町長さんに頼まれて来ました。アルスです。」
「おお、ではあなたが伝説のロトの・・・」
「え、この人が?」
若い門番がアルスを見る。
「あんまり強そうに見えないですよ。
証拠のアイテムはお持ちですか?」
「これっ。」
歳のいったほうの門番が若い方の門番の頭を叩く。
「ワシは異魔神との最後の戦いにも参加しとった。
後ろのほうで、槍を構えとっただけじゃがな。」
テ「マジッスカ。」
年「それはすさまじい戦いじゃった。
魔法使いや、賢者のピオリム、スクルトの集中がけ・・・
あんなに強化魔法が収束された戦いは見たことがなかった。
・・・そして、それすらものともしない異魔神。」
若「マジで?」
年「勇者様三人がかりの電撃に、飛空挺部隊の集中放火・・・
三人の若者の人間とは思えぬ技や魔法・・・
それでも異魔神は倒れんかった。
勇者さまも倒れ、私達後列の者も半壊・・・
もうこの世界は駄目じゃと思った時にここにおわすアルス様が、
残りの全員の・・・いや世界中の希望を一身に集めて、巨大なミナデインを王者の剣ごとぶつけなすったのじゃ。」
若「マジで!?すげーですね。」
年「しかし王者の剣は折れなすったはずじゃが・・・」
ア「これは先の刀身はレプリカです。
根元だけが本物で、うまく扱えば本物と同じくらいの力もだせます。」
年「おお、左様で・・・」
若「ちょっと見せてくれよ。」
ポカリ
年「お前が触れるのは1000年早いわい。」
若「ええ〜じゃあ死んでもみれないってことじゃないですか〜。」
年「珍しく理解がはやいのう。」
若「そんな〜。ひどい。」
テ「じゃあ、通ってもいいわね。」
年「どうぞお通り下さい。」
道を開ける門番兵士。
ア「ありがとう。」
手を上げて礼を表しながら、歩みを進める。
若「ほんとだったら、通行料100ゴールドもらうとこなんだぜー。」
後ろから若い門番の声と、その頭を殴る音が聞こえた。