「ああっ、アルスがピンチだわ」
ひとり残されたティーエが飛び出す。
「なんとかしないと……」
辺りを見回すと、プロキスが喜んで拾っていた雷神の剣と風神の盾が。
「そうだ、これで」
タイターンの針を取り出して、ふたつの伝説の武具に刺しつけるティーエ。
「風神さまと雷神さまが……」
しかし、ふたつの武具は沈黙したまま、なんの反応も無かった。
「そんな……岩だってゴーレムになるのに……」
肩を落としてしんりゅうを見上げる。
妖精のバックからこぼれた物があった。
それはバザーでもらった小さな竜の置物。
「あなた……ええいっこうなったらやぶれかぶれよ。どうか、お願いっ」
かすかな期待を込めて、両の手で持った、タイクーンの針を小さな小さな竜に突き立てる。
小さな、その木彫り細工の汚れた置物は、まばゆいばかりの光を放って、巨大なドラゴンへとその姿を変えた。
し「マスタードラゴンか……」
しんりゅうが眼前に現れた白銀のドラゴンを見てそうつぶやいた。