ろくに準備もせず、アルスはモンスターの洞窟へと歩いていく。
アルスの装備は、折れた王者の剣と、旅人の服。
アイテムも、ロトの印もなくて、町で買ったたいまつと光の指輪くらい。
それに・・・
「ねえアルス。」
「ん?」
「どうしてあんなこと言ったの?」
「あんなことって?」
「・・・外に仲間がいるって。」
「そう言っておかないと、安心してもらえないから・・・」
「そっか、安心させるためね。
な〜るほどね。
さすが勇者ね。」
「僕にはティーエがいれば充分だよ。」
「え!?」
「ここか・・・。」
薄暗い洞窟に着いた。
(ど、どーいう意味かしら。)
「行こうか。」
「う、うん。」
タイターンの針を握り締めてあたし達は洞窟へと乗り込んだ。
薄暗いダンジョン・・・
アルスの手のたいまつが先を照らす。
テ「シーザーは元気かしらね。ポロンと張り合ってたこともあったわね。」
ア「そんなこともあったね。懐かしいな。」
笑いながらもやっぱりアルスは寂しげに見えた。
何匹かおそってくる、モンスターもいたけど、アルスが斬り捨ててあたし達は無傷ですすんでいった。
テ「明かりが・・・話し声もする・・・」
?「へっへっへっへこれだけのモンスターを手なずければ、
ゼニスの町が、4頭政治じゃなくて俺の町・・・」
「ゼニーバーグになるってわけですな。」
ゼニー「うまいこと言うじゃないか。」
「お褒めに預かりまして。」
エビルマージと商人ふうの男が談笑している。
テ「アルス・・・あれって・・・」
アルスは堂々とふたりの前にでていく。
「き、貴様・・・」
ゼ「なんだ?」
ア「町長さん達にモンスター退治を頼まれました。
厄介なモンスターは?」
ゼ「ほう、用心棒か・・・さすがにわが身が危ないのに奴らも気付いたか。」
ア「あなたはモンスターを利用しているつもりかもしれませんが、
いずれはどうなるかわかりませんよ。」
「ふん、無用な心配を・・・
ゼニー様は私達のカシラ・・・これからもずっといてくださるのだ。」
ゼ「そういうことだ。
有能なものは魔物にも大切にされるのだよ。
それに厄介なのは・・・」
商人の手がかすかに動く。
ゼ「お前のほうだ。」
落とし穴が開いて、暗闇に落ちていくアルス。
ゼ「厄介なモンスター達とご対面というわけだ。
後はこの妖精にあることないこと触れ回られないように・・・オイ。」
エビルマージの返事がない。
見るとエビルマージは、真っ二つにされ、物言わぬ屍となっていた。
テ「アルス・・・いつの間に・・・」