ゼ「そ、そんな・・・」

ひとりの勇者の前に、魔物の大群はなすすべもなかった。

ゼ「なんだ、お前。

  呪文が使えないのか?

  まさか・・・使わないのか?」

ア「行こうティーエ。」

テ「うん。」

ゼ「へっ。

  なんなんだその強さは・・・

  お前人間か?」

歩き出すふたり。

ゼ「強すぎる力を持った人間はなあ、多くの人間を幸せになんかできねえ。

  一時期もてはやされてもなあ、結局は弱い人間の集団になじめず、

  周りも、そして自分も不幸にするだけなんだよ。

  俺みてえにな。」

テ「アルス・・・」

無表情のアルスからは、いつものような寂しさが感じられた。







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