ギャオオオォン

プ「なんだ?」

テ「モンスターの唸り声みたいね。」

シ「洞窟は知ってても、魔物はレベル違いなのよね。

  いきましょう。」

ア「・・・」

声の主は五つ首の魔物。

シ「ヒドラ?」

ア「違う、その上のキングヒドラだ。」

テ「そんな・・・ゾーマの僕だったようなドラゴンが徘徊しているダンジョンなんて・・・」

キングヒドラと一緒にいるのは、サラマンダーにドラゴンゾンビと・・・

シ「は、はぐれメタルだわ。」

メルトスライム属の幻のモンスター。はぐれメタル。

大量の経験値と幻のお宝を持っているという・・・

ア「今はドラゴンに集中するんだ。

  はぐれメタルは脅威にはならない。」

シ「はい。」

(わかってはいるんだけど・・・気になるわ・・・)

はぐれメタルはシフォンを見て笑っている。

グオオオン

プロキスの剣にサラマンダーが断末魔をあげる。

プ「最上級のドラゴンと戦えるなんて・・・」

剣の柄を握り締めるプロキス。

プ「ねがってもない舞台だ。」

自身にバイキルトをかけてキングヒドラに向かう。

プ「アルス様はゾンビのほうをお願いします。」

ア「わかった。」

聖なる剣で不死のドラゴンに斬りかかる。

シ「あ〜あ、苦手なのをアルス様に押し付けて、自分は大好きなドラゴン退治か・・・

  ちゃかりしてるわ。」

傍らで微笑むメタルのスライムと目が合う。

シ「う〜、気になるわ〜」

 

プ「竜頭砕き!」

竜殺しの剣、ドラゴンスレイヤーでキングヒドラの頭のひとつを砕く。

ア「油断しないで。ヒドラは強い再生力を持ってる。

  休まず攻撃するんだ。」

プ「はい。」

ブオオオー

残ったヒドラの首が炎を吐きかけてきた。

フバーハ

プ「シフォン。」

僧侶マスターの武闘家が光の衣をまとう。

シ「! 4つの首が、炎を吐きかけてくる。私のフバーハが持たない。」

ザシュ

ドラゴンのゾンビを片付けたアルスがヒドラの首をひとつ飛ばす。

ホイミンがクルンと回転してベホマラーを唱える。

全員の傷が回復した。

プ「青竜刀!」

剣の刃を蒼く輝かせてヒドラの首を縦に割る。

シ「流星斬魔刀っ!!」

両手を合わせて気の刃でヒドラの首を切り裂いた。

首ひとつのヒドラは不恰好なバランスで立っていた。

首を見上げるシフォン。

シ「回復する気だわ。」

プ「なに。」

頭のなくなった首がいやな音を立てて再生しようとしていた。

ア「とどめを。」

プ「っはい。」

シ「はい。」

印を結んで呪文を唱えるふたり。

「£й マヒャド」

「юφτ バギクロスっ」

「王者の剣よ、風の刃を。」

竜巻と冷気がヒドラの体を冷たく切り刻む。

ア「プロキス!」

プ「おおおお。」

渾身の力を込めてドラゴンスレイヤーを振り下ろす。

ドシュッ

生身の肉の音を残してヒドラの体は崩れ落ちた。

テ「やった。」

ア「よく戦ったよ。ふたりとも。」

ヒドラの巨大な屍を見下ろす。

プ「はい。この手であのキングヒドラを・・・少し自信がつきました。

  経験値も大きく上がった気がします。」

「ぎくっ。」

口笛を吹いてトボケルシフォン。

魔物の群れが現れた。

プ「この馬鹿、なんで口笛なんて吹くんだ。」

シ「だって・・・」

はぐれメタル×2

シ「きゃーはぐれメタル。

  プロキス! ドラゴラム、ドラゴラム。」

プ「おまえってやつは・・・」

はぐれメタルは逃げ出した。

逃げ出した。

シ「あ、ああ〜逃げられちゃった・・・」

うらめしそうなシフォン。

 

・・・魂の抜けるアルスとティーエ。




     


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